経済的に元が取れるような価格設定ではない
「今は特別なプリウス」こと、プリウスPHVがデビューした。急速充電にも対応した外部充電機能を持つ、このハイブリッド車はJC08モードで68.2kmもバッテリーに溜めた電気だけで走ることができる。常に充電できる使用状況であれば、日常的にはガソリンを使わないハイブリッドカーといえるのだ。
そのプリウスPHVには、世界で初めてソーラー充電システムがオプション設定されている。これまでも太陽光発電システムを積んだクルマはあったが、駆動用バッテリーを充電するというのが世界初の理由だ。条件が良ければ一日最大6.1kmを走れるだけの電力をまかなうことができるというから驚きだ。
それ以上に驚くのは、ソーラー充電システムの価格だろう。最上級のSグレードのみに設定されるソーラー充電のメーカーオプション価格は28万800円(消費税込み)。
レギュラーガソリンを130円/Lとして計算するとガソリン2160Lに相当するオプション価格であり、細かい計算をせずともソーラー充電システムが走行コストにおいて元が取れることを考えるのはナンセンスであることは理解できると思う。
そもそもプリウスPHVはプラグインハイブリッドという最新鋭のエコカーではあるが、新しいものというのは生産コストがかかるものであり、燃費性能で元を取ることを考えるような性格の商品ではない。トヨタハイブリッドシステムとして2モーター駆動を行なうようになったパワフルな電動車両という価値など先進性を味わう商品企画といえる。
であれば、ソーラー充電システムという世界初の機構を選ぶというのは「最先端テクノロジーを所有する」ことに対する満足度をどれだけ感じることができるかを基準に選ぶべきであろう。もっとも、屋根付き駐車場にプリウスPHVを収めるようなオーナーが、所有欲からソーラー充電システムを選んでしまっても、そのメリットを味わう機会は少ないかもしれない……。