塗料自体も高いが一番は手間がかかること
クルマの個性を表現するボディカラー。ご存じのようにさまざまなカラーが用意されているが、以前であれば、ホワイト、黒、シルバーあたりが定番で、あとは赤などがついで程度に用意されていたものだ。
それが最近ではビビッドで派手なカラーやソリッドなど、バリエーションが増えてきた。マツダのソウルレッドのようにメーカーをイメージするカラーも出てきた。
しかし、カタログをよく見てみると、個性的でいいな、と思うカラーは特別色として5万円高だったりする。なかにはNSXのバレンシアレッドパールのように、67万円高というものもあって、中古車ならクルマが1台買えてしまうほどの価格設定もあったりする。
クルマ好きなら見たことがあるかと思うが、一部の超高級車は別として、クルマというのは大量生産の産物ゆえ、ラインでどんどんと作られる。塗装もしかりでロボットが次から次へと自動で塗っていくし、1台ごとに色が変わっても塗り分けは可能だ。
となると、特別色のプレミアムプライスはなんなのだろうか?
まずあるのは塗料自体が高い。色味はもちろん、中に入れるパールやメタリックの粉末などにこだわると、それだけ価格も上がるのは当然だ。とはいえ、大量に仕入れるのでそれほど価格を圧迫はしない。
一番大きいのは、普通色より手間がかかるという点だろう。まず単純に塗装工程が多い。最近はとくに色の深みにこだわることが多く、そうなると塗装回数を増やしたり、別の色を重ねたりする必要が出てくる。
たとえばマツダの新型CX-5で採用された、ソウルレッドプレミアムメタリックはとても手間がかかっているカラーで5万円高。
そもそもソウルレッドは、あのなんともいえない深みや発色のために、メーカーとしては珍しいキャンディカラーを採用している。キャンディカラーとは、クリア層が透明でなく、色が付いているもので別格のカラーというわけだ。
また光沢にこだわれば、途中で表面を平滑にするために何度も研ぐこともあったりと、完全オートメーションではできないことも出てきて、熟練工の手が必要になることもある。そうなると当然価格にも影響が出てくる。大量生産ゆえ、逆にそこから外れると別途費用がかかってしまう。そのいい例が、特別色というわけだ。