どちらも間違いではないので由来を見て好きなほうで呼べばいい
メルセデス・ベンツ。これが正式名称なのは、誰でもご存じだろう。ただ無意識にはベンツと呼んでしまうのは事実だし、メルセデスがなんだか正式っぽいというか、常識がある呼び方のようにも思える。とはいえ、毎度メルセデス・ベンツと呼ぶのも長いし、堅苦しい。
ちなみに会社名としては、日本法人はメルセデス・ベンツ日本。ドイツ本国はダイムラーで、今ひとつ正解がわからないし、さらにいうと、ダイムラーってなんだ? と思ったりする。
では、ベンツ、メルセデス、ダイムラーはそれぞれなにか、解説していこう。まずベンツはお馴染み、世界で初めてガソリン自動車を発明した人物の名前で、カール・ベンツというのがフルネームだ。
次にダイムラーを説明すると、カール・ベンツのライバルであったゴットリーブ・ダイムラーに由来するもので、当初は別の会社であったし、ガソリンエンジンを発明したのはベンツより先んじていた。それを馬車に載せているのだが、それはベンツの第一号車よりも先であり、ガソリン自動車の発明はダイムラーのほうが先だったとする説もあるほどだ。ちなみに今もグレード名に残るマイバッハはダイムラーの相棒だった人物だ。
ベンツもダイムラーも意欲的に開発を行い、新型車を生み出していくが、ここに富豪であるイエリネックという人物が登場してくる。ダイムラーのスポンサーであり、彼の依頼で作られたのが1901年に登場したメルセデス35psというモデルで、これが史上初のメルセデスの名前が付いたクルマとなった。
では、このメルセデスはなにに由来するかというと、イエリネックの娘の名前となる。硬いイメージのダイムラーではなく、クルマの名前は女性的でなければいけないというのがその理由だったようだ。その後、両社とも不振に陥り、合併することになったのは1926年、昭和2年のことである。
こう見ていくと、ダイムラーはなしとしても、クルマ好きとしての響きからすると、メルセデスと呼んだ方が通な感じもするが、ベンツでもメルセデスでもどちらで呼んでも間違いではないだろう。
(写真提供:メルセデス・ベンツ)