人と協調できる新しい領域の技術と商品の開発を行う
ホンダが目指すロボティクス社会とは、他人に共感できる、仲間と協調できる、という人間の素晴らしさをさらに引き立てる社会でありたいと考えているという。そのためホンダではAIのことを、社内で人と協調できる人工知能という意味でCI(Cooperative Intelligence=協調的知能)と呼び、人と共感し、人と共に成長し、人の可能性を拡大する、新しい領域の技術・商品開発を行なって世に出していくとする。
人工知能の第一人者のひとりであるエドワード・ファイゲンバウム博士は、このR&DセンターXのアドバイザーに就任する。ホンダが初めてアメリカに研究所を立ち上げた際に、エンジニアの卵である若者を研究するために、教えを乞うた大学の教授こそが、そのエドワード博士だという。
エドワード博士は、この発表会の席上で、ポータブルミュージックを世に出したソニー、そしてデジタルカメラをいち早く開発したコダック社を例に挙げ、ソフトウエアへの対応の遅れを指摘する。同様に現在、AIに対していち早く対応する重要性を強調した。
同じく、このアドバイザーには、日本の企業再生・新規事業創出で実績のある経営協創基盤の冨山和彦代表取締役CEOも参加する(発表会へはビデオレターで出演)。
同時に公開された「HondaイノベーションラボTokyo」は、東京・赤坂にある赤坂BIZタワーに2016年9月に開設。すでにオートモーティブR&Dセンターとして、コネクティビティや自動運転に関するハードウエアの開発部隊がこの場で作業を進めている。
そのエントランスには、この場所を象徴する一枚の絵(オブジェ)が飾られている。額の右側は真っ白で、左に行くにつれて、ブドウの木が浮かび上がり、立体となって、最後はブドウ以外の果物も実をつけている、というこのオブジェ。何もないところから創出し、最後は誰もが驚く成果を見せる、という意味である。
ハード寄りのものから、もっとソフトウエア開発に特化したスペースである。この場所からホンダの、人にやさしい、あらたな商品が生み出されることとなるだろう。