EV走行モードの進化で野生動物とのランデブーも楽しめる
リヤのドアを開け後席に収まると、そのスペースはたしかに広くなったが、ショーファー用として使うにはギリギリのサイズだ。
ホイールベースが2950mmから3100mmに延長されたとはいえ、クーペスタイルの天井は低いので、リヤシートの居住性をウリにするプレミアムサルーンのライバルに比べれば窮屈感は否めない。やはりポルシェは、ステアリングを握ってナンボのクルマだと思う。
運転席に座ると、アナログのレブカウンターの横に、モーター出力や電池残量がひと目でわかるパワーメーターが装備され、このクルマがPHEVであることを知らせる。
エンジンはV型6気筒ツインターボで、330馬力を絞り出し、これに136馬力のモーターが加わる。そのシステム最高出力は462馬力、最大トルクは700N・mを発揮。PHEV史上最高のパフォーマンスはもちろんだが、それ以上に50kmに伸びたEV走行レンジ(走行距離)と、EV走行時の最高速度が140km/hというポイントが魅力だ。
お馴染みのステアリングホイール4時位置にあるモードスイッチでは、「スポーツプラス」モードのほかに、このパナメーラ4Eハイブリッドにだけ用意された4つのEV関連モードが選べる。スタート時は自動的にEパワーモードが選ばれる。これはその名のとおり電気のみで走行するモードで、発進はすべてモーターを使い静かでスムース。
喜望峰の周囲は動物の自然保護区にあたり、時折サルやダチョウが道路を横断する。EV走行の距離と最高速度が伸びたことで、エンジンを使うことなくエミッションフリーで、静かに動物と喜望峰をランデブー走行できた。
そのほか、効率とパワーをミックスしたモーターとエンジン駆動を自動的に組み合わせたハイブリッドオートモード、バッテリーの充電状態維持を優先たEホールドモード、エンジンによってバッテリーを積極的に充電するEチャージモードと、4Eハイブリッドでは色々な走り方を任意に選べて楽しい。
PHEVのパナメーラ4E-ハイブリッドは、実用性とパフォーマンス、そして多様性を備えた注目のラグジュアリースポーツサルーンだ。昨年のパリ・サロンで示されたように、電動化へと走る欧州プレミアムブランドのなかにあっても、ポルシェの存在感は大きいのだ。