軽油のカロリーの高さと圧縮比の高さが大きいトルクを生む
ディーゼルというとトルク! という印象がありますね。それは必ずしもトラックなどの大型の貨物車に使われているからだけではありません。実際にエンジンの特性としても、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比較して、トルクが太いのです。その要因を今回は解説してみましょう。
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まず燃料の特性ですが、ガソリンよりも軽油のほうがカロリー(発熱量)が約14%高くなっています。つまり燃焼時のエネルギーがそれだけ大きいということです。
当然14%パワフルなわけですが、それと同じくらいエンジン特性の違いが大きく影響します。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも高圧縮なので、より熱効率が高くなり、パワフルなのです。
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トルクというのはエンジンの発生する力です。ディーゼルのほうが、燃料のカロリーが高く、燃焼効率も高いので、当然トルクが大きくなります。そしてディーゼルエンジンではシリンダーのボア径をかなり大きくすることができます。
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ガソリンエンジンでは100mm程度が限界ですが、船舶用ディーゼルエンジンでは3000mmを超えるものもあり、1気筒あたりの排気量38リットル! という巨大なものも可能なのです。
これはガソリンが点火プラグの所、1点から燃焼が始まるのに対して、ディーゼルは燃焼室のいろいろな場所で同時多発的に燃焼が始まるという、燃焼方式の違いによるものです。
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もちろんディーゼルエンジンにも欠点はあります。それは高回転が苦手なことで、燃焼速度がガソリンよりも遅いのが原因です。
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以前にも解説したように、パワーというのはエンジン回転数×その時の発生トルクによって計算で出されるものなので、同じトルク値であれば高回転で出せば出すほど、パワーは高くなっていきます。そういう面ではガソリンエンジンのほうが有利なのです。