【WRCにその名を刻んだ名車】トヨタ・セリカWRC参戦の歴史 (2/3ページ)

フルタイム4WDマシンST165型セリカで初のドライバーズタイトルを獲得

 1987年、WRCは速すぎて危険度が増したグループBに変わり、グループA(連続する12カ月で5000台生産された車両をベースに製作、外装は大幅な改造は不可)レギュレーションに変わった。その年は暫定的にA70型スープラで参戦するが、1988年にはトヨタは初のフルタイム4WDマシンとなる4代目セリカGT-FOUR(ST165型)をデビューさせる。

 当時のリストリクター(空気吸入制限装置)と最低重量規定にもっとも適した排気量といわれた2リットルターボ(新開発の3S−GTE型)を搭載。パワーこそ295馬力であったが、トルクは50kg-mに迫る低中速域重視のエンジン(ノーマルは185馬力/24.5kg-m)に、前後トルク配分50:50のコンベンショナルな4WDシステムを組み合わせている。

 初勝利を飾るまでには1年強を要したが、1990年にはカルロス・サインツ選手が年間4勝を挙げて、日本メーカーとして初めてトヨタにWRCのタイトルをもたらした。

 翌1991年はカルロス・サインツ選手が年間5勝を挙げるものの、僅差でタイトル獲得とはならなかったが、当時WRCで最強であったランチア・デルタの牙城を崩し、チャンピオンを獲得したST165型セリカの活躍により、トヨタはWRCになくてはならない強豪チームの仲間入りを果たした。

 トヨタの悲願であったマニファクチャラーズ(メーカー)タイトルは、5代目セリカ(ST185型)に途中から投入されたエボリューションモデル「GT-FOUR RC(RCはラリーコンペティションの略)」とユハ・カンクネン選手によって1993年に成し遂げられる。

 1992年は2度目のドライバーズタイトルを獲得。そしてこの年、往年のラリーファンには懐かしいカストロールカラーに変更されたGT-FOUR RCは素のGT-FOURに対して全幅を55㎜ワイド化、エンジンは3S-GTE型を踏襲したが、ベースモデルと異なるメタルタービンの採用、インタークーラーが先代のST165型同様に水冷式に改められるなど、WRCを勝ち抜くためのアイテムが数多く投入されていた(ノーマルは235馬力/31.0kg-m)。

 これにより信頼性をさらに高め、13戦中、7勝を記録(内カンクネン選手が5勝)。ドライバー、メイクスの両タイトルを獲得し、WRCの完全制覇を果たした。翌94年も年間5勝を上げて、2年連続でWタイトル(ドライバーズタイトルはディディエ・オリオール選手)を獲得するなど、ST185型はトヨタの黄金時代を築き上げた。


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