【今さら聞けない】燃料電池って何? (2/2ページ)

クルマ用の燃料電池は発電効率が低い

 燃料電池が高価なのは、その複雑で高度な技術だけでなく、触媒としてプラチナを大量に使用するからです。

 具体的に言うと、安定した水素分子の状態から、不安定な水素イオン+電子という形にする必要があります。安定した物質が不安定な物質になるということは普通はあり得ないので、それを高温と触媒によって可能にするのです。

 だから燃料電池から出て来る水は、じつは高温になるので、家庭用燃料電池システムでは給湯器のような役割も果たしてくれます。燃料電池車では比較的低温の燃料電池を使っているので、それほど高温の水が大量に出るわけではありませんが、その代わりに発電効率は大幅に低いものになっています。

 燃料となる水素という物質は貯蔵が難しいんですね。沸点、つまり液体が気体に変わる時の温度は-252.6℃という超低温です。つまり気体として扱うしかない、というのが基本的な考え方です。

 気体というのは体積がとても大きくなってしまいます。それで高圧タンクを使って圧縮された状態で貯蔵することになります。燃料電池車では700気圧の高圧タンクが使われていますが、タンク本体だけでも100kg前後に達しています。しかもサイズが巨大なのでクルマのパッケージを圧迫してしまいます。

 家庭用燃料電池は、エネファームという名称でアピールされています。このシステムでは都市ガスやLPガス、灯油などから改質器を用いて水素を取り出します。つまり都市インフラなどで供給されているガスや、ガソリンスタンドから宅配される灯油を用いることで、比較的に楽に燃料電池を稼働させることができます。

 ヨーロッパではすでに小規模の発電所のシステムとして、運用が始まっています。こういったシステムはスケールが大きいほど効率が高くなり、エネルギーのロスも少なくなります。果たしてクルマに極小の発電所を積むべきなのか?  根本から再検討すべきではないかと思います。


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