ライバル視していた日産R32GT-Rを凌ぐ空力とエンジン
三菱が久しぶりに登場させたスポーツモデルということもあり、実力的に評価できる部分も少なくない。
まず、前記のV6ターボエンジン。このエンジンの低速トルクは、当時としては無比無類で、アイドリングのまま6速発進ができたほど! GT-RのRB26エンジンよりも、400cc排気量が多い分、ブーストアップチューンだけでも、驚くほどパワフルになった。
また、ブレーキはアルミ製4ポット異径対向ピストンブレーキキャリパーを、国産車で初めて採用。1994年のマイナーチェンジでは、GT-Rのブレンボブレーキに対抗し、APロッキード製6ポットブレーキ(!)のオプションも用意(レーシングカー以外ではほとんど見たことがない)。
また、ゲトラグ社のミッション(5速MT、中期以降は6速MT)を採用したのも、GTOが最初。GTOが、ライバル視していたR32GT-Rと比較すると、エンジンと低重心。そして空力面はGTOにアドバンテージがあった。空気抵抗係数(Cd値)は、GTOが0.33、GT-Rのノーマルが0.40。N1レースのベース車になったNISMO仕様が、0.42だった。
しかし、車重が1.7トンもあり、軽量化モデルと言われた「MR」ですら、1670Kgもあった。さらに重量バランスもかなりフロントヘビーだったので、レースの世界ではGT-Rには及ばなかった。
しかし、このGTOがあったからこそ、のちにWRC、そしてレースの世界でも輝かしい実績を残した、あのランエボシリーズが生まれたともいえる。
車格の割に、車体価格が330万円~390万円ぐらいと安かったので、もう少し販売台数が多くて、本気でチューニングする人がいれば、ハイパフォーマンスカーとしてもっと評価が高かったはず。もったいないという印象が残る一台だ。