機敏なノーズの動きと粘る足でコーナーが楽しい
続いて首都高、高速へと試乗場所を移す。首都高は中速域でカーブが連続する場所だ。路面表面は継ぎ目が多く荒れ気味で、コンフォート性も含めてチェックできる。
コーナーに差しかかり、ステアリングを切り出すとステアリングの切り出しに対しての応答性が鋭い。ステアリングの操作に対してグッとノーズが反応して方向を変えるのだ。左右切り返しでもその機敏さは失われない。
やや過敏かとも思われるこの動きだが、それは瞬間的なノーズの反応であり、コーナリング自体はタイヤ、サスペンションがロールスピードを押さえて穏やかに姿勢変化をしつつコーナーを抜けてゆく。ノーズの動きが神経質なクルマにありがちな、不安定さ、もしくはドライバーが感じる不安感はない。
そして回り込むような、長く荷重がかかり続けるようなコーナーでは、ルノー車の真骨頂である粘る足が確認できた。コーナリング中に路面の継ぎ目があってもシッカリ路面にタイヤを押しつけ、ステアリングを一定に切ったまま、アクセル操作で気持ち良くコーナーを抜けることができるのだ。
街中で余裕たっぷりだったエンジンは、少なくとも公道で確認できた100km/hまでなら十分。必死に唸ることもなく、それでいて走っていることが実感できるような音と回転の伝わりで、ドライバーの操作に答えてくれる。
今回は長距離移動を試すことができなかったが、試乗内容から想像する限り問題なさそうである。
唯一期待したいのは、パドルシフトの装着だ。Dレンジで走っている限りCVTなどと遜色ない実用性をみせるEDCだが、走りを楽しむとなれば別。MT感覚のダイレクトさとシフトスピードがウリなのだから、それを生かすためにも積極的にシフトしたくなる。もちろんシフトレバーではマニュアル選択が可能だが、積極的に走りたくなる、走らせられるクルマに仕上がっているがゆえに、より楽しめるための希望だ。
さて、商品力を増したルーテシアに改めて試乗し、欧州で売れる理由は存分に伝わってきた。日本でいえばコンパクトカーというジャンル分けになるBセグメントハッチバックでも、走りに妥協はなく、質感も高い。
もっといえば、走りにルーテシアとしての個性はあれど、クセのようなものはほとんど感じられず、日本の交通環境でも多くの人に受け入れられるような性能だと思える。
販売店が近くにあるなどの環境を抜きにすれば、もはやメーカーの国籍など関係なく、先入観なく横並びでクルマを購入する時代なのかもしれない、ルーテシアに乗って改めてそんな思いに至った。
(写真:小林 健)
ルノー ルーテシア マイナーチェンジ 新装備・変更点
●フルLEDヘッドランプ(オートハイトコントロール、シーミーホーム機能付き[インテンス/ゼン])
●リアLEDランプ[インテンス/ゼン]
●フロントLEDランプ[アクティフ]
●新フロントデザイン
●新ホイールデザイン
●新インテリアカラー[インテンス]
●新シート&ドアトリムデザイン
●ファブリック×レザー調コンビシート[インテンス]
●R&Go アプリ対応ラジオ[ゼン・アクティフ]
●自動防眩式ルームミラー[インテンス・ゼン]
●LEDマップランプ[インテンス・ゼン]
●ステアリング形状変更[ゼン・アクティフ]