一方でメインパイプの径は特性に大きく影響する
もうひとつのカギを握るメインパイプのパイプ径も、太ければそれだけ抜けはよくなるが、太すぎるとデメリットも……。というのも、エンジンは低回転で回っているときと高回転で回っているときでは、当然、排気ガスの時間当たりの流量が異なるからだ。
エンジン全開、7000~8000回転のときに、一番排気ガスの抜けがいい(流速が速い)太いパイプ径にしてしまうと、2000~3000回転の低回転域では抜けがよすぎて、かえって流速が落ちてしまう。
かといって、低回転域でピックアップがよくなるようにメインパイプを絞って流速を上げると、高回転域で排ガスが詰まって、パワーダウンにつながってしまう。
水道のホースで考えればわかりやすいだろうが、同じ流量なら出口を絞ったほうが流速は増し、太くすると流速が落ちる。しかし、蛇口をより大きく開けば、ホースの出口も合わせて広げないと、多くの水は出せなくなる。
このように、マフラーのメインパイプ径を最適化するのはけっこう難しく、自動車メーカーは多くのシチュエーション、そしてそのエンジンの出力特性を考えて、メインパイプの太さを決めているので、テールパイプはそのメインパイプより細くなければ、とりあえずOK。(可変バルタイや可変バルブリフト機構などがあれば、メインパイプが太くても低中回転域の排気ガスの流速が落ちないようにコントロールできる!)
反対にテールパイプだけ太くても、サイレンサーを通過した後の排気ガスは、大気に開放されるだけなので、ほとんど排気効率には影響しない。
違いがあるとすればルックス面だけだが、軽自動車がやたらと太いテールパイプのマフラーをつけても似合わないし、グレードの問題で大きなボディに小さなエンジンを載せているクルマのテールパイプが細いのも、なんだかさみしくて物足りない……。
そういう意味では、マフラーのテールパイプも、意外にドレスアップのセンスが問われる箇所のひとつだ。