慎重な走りでデータを集めつつ闘ったラトバラの走りも素晴らしい
次に2位に入賞の原動力をあげるとするならば、やはりラトバラのドライビングだ。「ラトバラがミスなく走りきった。完璧だった」とマキネンが評するようにラトバラは全開アタックを封印し、開発データを収取すべく、慎重な走りでニューマシンのマイルを重ねた。
フォルクスワーゲンに移籍してからはナーバスな表情をよく見せていが、マキネンの元で笑顔を見せるラトバラを見る限り、長きスランプを抜け出しつつある。もともと抜群のスプリンターであるだけにラトバラの瞬発力はトヨタ陣営の起爆剤となるに違いない。
そして、最後に評価したいのが、TOTOTA GAZOO RACINGのスタッフたちだ。「オペレーションもうまくいった」とマキネンが語るようにトラブルへの対応からタイヤ選択、セッティング変更、メカニックにサービスワークに至るまですべてがスムースだった。
この2位入賞でチームスタッフのモチベーションはさらに高くなっているだけに、次のステップに向けた努力は惜しまないことだろう。
もちろん、スピードという部分では、セバスチャン・オジェのドライブで開幕戦を制したフォード・フィエスタWRC、そして、そのオジェとトップタイムを分け合ったティエリー・ヌービルのヒュンダイi20クーペWRCと比べるとギャップがあったことも事実だが、開幕戦のトヨタ陣営の動きを見る限り、すぐにライバル車両に追いつくことだろう。
「TTEは数多くの実績を持つ最強のチームだったが、マキネンを中心とする最新チームも必ず強くなるだろう」と語るのはヒュンダイのナンダンだが、その言葉どおり、表章式で流される優勝マニュファクチャラーのナショナルソングとして久しぶりに「君が代」が聞ける日もそう遠くはないのかもしれない。