市販車の場合エアロパーツでやたらとダウンフォースを増やすと悪影響も
現在のF1マシンの最低重量は600㎏(軽自動車のアルトワークス5速MTの670㎏より軽い! ちなみにパワーユニットの出力は約900馬力なので、パワーウェイトレシオは、なんと約0.66kg/ps)。
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こんなに軽いマシンが、ブレーキやコーナリング時に最大4G以上もかかる強力なグリップ力を得られるのは、空力パーツによるエアロダイナミック・グリップの影響が一番大きい。
ただし、これらの空力パーツによるダウンフォースの大きさは、空気抵抗とトレードオフにあるのが一般的。ダウンフォースが欲しいからと、やたらとエアロパーツを装着すると空気抵抗が増えてしまい、最高速度が伸びなくなり、燃費等にも悪影響が出る。
一例をあげると、時速300kmで走行中のF1マシンは、アクセルを全閉にしただけで、高性能スポーツカーのフルブレーキに匹敵する、1Gもの減速Gをマークするという。要するに、それだけ空気抵抗が大きく、ウイング等が飛行機のエアブレーキと同じような仕事もしているというわけだ。
したがって、レーシングカーやスポーツカーを設計する空力エンジニアたちは、さまざまな制約、レギュレーションの範囲で、いかに少ない空気抵抗で、最大のダウンフォースを得ることができるかを、風洞実験やコンピュータによるCFD(計算流体力学)を駆使しながら、日夜知恵を絞り続けている。