ルールを明文化せずに歩行困難な人が利用しやすい寛容な環境を作るのが理想
サービスエリアやパーキングエリア、大型の商業施設などの駐車場で見かける、車いすマークの駐車スペース。
2006年に施行されたいわゆるバリアフリー新法(正式には「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」)によって、高齢者・障がい者・妊婦・傷病者などが移動したり公共施設などを利用する際の利便性・安全性を向上させるために、障がい者などのための優先駐車場の設置数や駐車スペースの幅などの設置の基準が決められた。
しかし利用者の条件については、いまのところ法律上の明確なルールは見当たらない……。
つまり、優先駐車スペースを利用していい人とそうでない人の判断は、駐車場の管理者に任されているのが現状というわけだ。
ひとつの基準として挙げられるのは、
①身体に障がいがある方で歩行が困難な人
②難病等で歩行困難な人
③怪我などで一時的に歩行困難な人
といったところは、妥当だろう。
ちなみにあの車椅子のマークは、国際リハビリテーション協会が定めたもので、正式には「国際シンボルマーク」といい、このマークがあるところは、障害をもつ人々が利用できる建築物や施設であることを示している。
そのマーク本来の位置づけからすると、車椅子マークの駐車スペースが利用可能なのは、「障がいのある方全般」ということになり、そこには身体障がい者だけでなく、知的障がいがある方(歩行が困難な方)なども含まれることになる。
そうなると、グレーゾーンとなるのは、高齢で歩行が困難な人や妊婦さん……。
ただ明確な決まりがない以上、高齢者や妊婦さんで困っている人がいれば、障害がなくても親切かつ寛容に運用すべきだと思うがどうだろうか。
また、こうしたことは明文化するより、ケースbyケースでフレキシブルに対応した方が、住みやすい社会を維持できるにちがいない。