フィーリングにこだわった「シリウス」エンジン搭載
最近、ちょっと残念なことになっている三菱自動車。1980年代あたりは技術の三菱として、名を馳せていたこともあった。実際のクルマを見ても、意欲的かつ独自の技術を投入。もちろんスポーツカー作りにも他メーカーとは違うモノがあって、ファンは多かった。
その真骨頂といっていい1台が、スタリオンだ。スタリオンという車名からして「ギリシャ伝説に出てくる英雄ヘラクレスの愛馬」に由来するという勇ましいもの。
さらに当時の三菱はエンジンに愛称を付けていたが、搭載されていたのはシリウスエンジンで、星座の名前に由来する。ちなみに「ネプチューン」や「オリオン」などの愛称もあった。
スタリオン開発にあたって目標とされたのが、欧州で通用する高性能だ。なかでもドイツのアウトバーンを走り抜くことを想定していたというから凄い。ライバルとしては、欧州のみならずアメリカでも人気のあったポルシェ924ターボを念頭に置いていたという。
ということで、当時ウエポン的な先端技術であり、普及が進んでいたターボを装着。もちろん三菱製のタービンだ。2リッターで145馬力というスペックは、今となっては取り立てて凄いわけではないが、他社に先駆けて電子制御化している点に注目で、1980年代らしいじゃじゃ馬的な鋭い吹き上がりを楽しめた。
さらにフィーリングにもこだわっていた。三菱お得意の手法である、サイレントシャフトを装備することで滑らかなフィーリングを実現。4気筒ながら8気筒のスムースさを実現しているというが、さすがに言い過ぎな気が……。
ちなみに当時の資料によれば、この技術はライバルたるポルシェにも供与されているとあるが、実際のところは不明だ。