最高傑作との呼び声もあるランチア・ストラトス
③ランチア・ストラトス
1から3はもう優劣つけられないというのが正直なところ。これまたスーパーカー世代ならよだれもの。ホイールベースとトレッドが非常に近いサイズという、クルマ作りの文法としても異質だが、そこに載せられた宇宙船のようなボディ。
すべてひっくるめてガンディーニが描き出したものである。当時のデザイナーは今のようにただ絵を描くのではなく、技術的なセンスも持ち合わせていた人が多かった。このストラトスのプロトタイプとして、有名なストラトス・ゼロがあるが、こちらはさらに常人には理解できないスタイルやディテールで仕上げられている。
④シトロエンBX
シェイプしたボディと四角をあえて採り入れたディテール。そう、手法はカウンタックとまったく同じなのだ。これに気が付いた当時のクルマ好き狂喜乱舞。実際、フランス車として異例なぐらい売れた。
当時はガンダムデザインなんて呼ばれたが、それこそがガンディーニデザインの真骨頂。日本車の安っぽい凹凸ばかりのガンダムデザインではなく、ガンディーニは真の意味でのガンダムデザインといっていいだろう。
⑤ルノー・サンク
今のルーテシアのご先祖様。シュペールサンクと呼ばれた、2代目サンクも担当している。コンパクトカーで、どう世界観を作りあげるのか興味津々だったが、採った手法が凄い。台形がモチーフなのだ。しかもただそれだけ。
ガンディーニデザインの特徴のひとつである凹凸などは一切なし。せいぜいヘッドライトが四角なぐらいで、あとは台形のみ。それで天才的なデザインにまとめているのだから、凄いの一言だ。
そのほか、カウンタック時代のランボルギーニは多く手がけているし、スーパーカー世代なら心に残るフィアットのX1/9やアルファロメオのモントリオールなども担当。あまりに天才&奇才すぎたのか、1990年代以降はあまり活躍せず、商用車や電車のデザインなどをしていた。
また日本車を手がけたことがない(公式には)のも、その飛び抜けた才能ゆえか。受け皿が限られてしまうのは事実だろう。手堅いなかで個性を出すジウジアーロやピニンファリーナとはまったく異なったデザイナー、それがガンディーニだ。