シフトアップのとき空ぶかしは今のクルマの場合無意味
一方、シフトアップの際に1回空ぶかしするのは、ほとんど無意味といっていい。その昔、MT車のトランスミッションに、まだシンクロメッシュ機構がなかった時代は、ギヤごとの回転数の違いを、手動(足道?)で同期(シンクロ)させる必要があり、そのために「ダブルクラッチ」といわれるテクニックが編み出されたのだが、いまでもシフトアップ時に空ぶかしをしている人は、その古典的なテクニックの名残かもしれない。
ダブルクラッチの具体的な操作手順は次の通り。
1 クラッチを切る
2 ギヤをニュートラルに戻す
3 クラッチをミートさせる
4 アクセルを踏んで回転数を合わせる
5 もう一度クラッチを切る
6 ギヤを入れる
7 クラッチを再度ミートさせる
昔のクルマは、シフトアップ・シフトダウンのたびにこれをやらないと、変速時にギヤが入らなかったり、ギヤ鳴りを起こしたり、ギヤを痛めたりしてしまったそうだ。
しかし常にすべてのギヤが噛み合った状態で、各ギヤにシンクロナイザー(マルチコーンシンクロも珍しくない!)が入っている現在のフルシンクロメッシュトランスミッション車には、無用のテクニック。
走行距離がかなり伸びて、少々シンクロが弱ってきているMT車の場合、真冬の寒い時期、ミッションオイルが温まるまで、ダブルクラッチで弱ったシンクロを助けてあげるという理屈も成り立つが、そもそも上手に回転が合せられる人は、ミッションも傷まなかったりするわけで……。
ミッション(シンクロ)が弱ってきたなと思ったら、ミッションオイルをこまめに良質なものに交換してやるか、ミッション・オーバーホールの予算を積み立てはじめた方がいいかもしれない。