空間の広さは変わらなくても心理的な圧迫感は激減
「ガラスルーフ」、「パノラマルーフ」などと呼ばれるガラス窓を屋根にはめ込むオプションメニューが用意されているクルマが存在しているのは、ご存知だろうか。
かつて「サンルーフ」といって屋根の一部がスライドして開閉できる機構が流行した時期もあったが、いまでは国産車で見かけることはずいぶんと減ってしまい、主に欧州車で「ガラスルーフ」を見かけるケースが多い。
ガラス部分がポップアップして換気できるタイプ、スライドして大きく開くタイプ、そしてガラス部分は固定でシェードにより光を遮るだけのタイプなど様々。最近ではガラスを固定しているタイプが増えてきている印象がある。
というのも、可動式にするためにはガラスの面積が制限される。そのためガラスルーフによる恩恵を受けることができるのは前席だけとなってしまうケースもある。最近のトレンドは全席平等といった思想であり、後席までもカバーする巨大なガラスルーフにしようと思うと、おのずと固定タイプとなってしまうのだろう。
さて、そうした後席までもカバーする大きめのガラスルーフのメリットは、開放感にあふれること。ルーフまでの物理的な距離は限られていても、空が視界に入ってくることで、とくに後席パッセンジャーには心理的メリットが大きい。また、大きめのガラスルーフが欧州車に多く見られる理由は、太陽光をできるだけ取り入れたいという彼の地でのマインドも影響していることだろう。
なお、かつてのガラスルーフは、ルーフというクルマの最上部が重くなってしまうので重心が高くなってしまい、運動性能面でのネガが指摘されることが多かった。その基本は現在でも変わらないが、衝突安全ボディの普及に伴いボディは重くなっていることで、相対的にネガが薄まっているといえるだろう。