サスペンション交換は3つの効果がある
スプリングやダンパーを交換するのは、チューニングの定番メニュー。その目的は、主に3つ。
①操縦性の向上
②ドレスアップ
③乗り心地の改善
1番目の操縦性の向上は、ロール量、ロールスピード、ピッチング量、ピッチングスピードを最適化し、路面追従性をよりよくすることで達成できる。
このうち、サスのストローク量は、スプリングの固さで決まり、ストロークスピードはダンパーの減衰力に左右される。路面の追従性は、車高とサスペンションストロークが決め手となる。
このうち手っ取り早いのは、車高を下げること。車高を下げる=重心が下がる=4つのタイヤの接地性が常時上がり、ロールモーメントも減らせる。
メーカー純正のサスペンションの場合、降雪時にタイヤチェーンなどを装着することなども想定しているので、タイヤとタイヤハウスのクリアランスにかなり余裕を持たせていて、車高がけっこう高めに設定されている。操縦性を優先するなら、そうした純正サスのマージンを削り、車高を下げるとパフォーマンスが上がる。
ただし、車高を下げれば、サスペンションの縮み側のストロークが必然的に削られるので、サスペンションが底づきしないよう、スプリングレートを高める必要が出てくる。スプリングレートが高くなるということは、サスの動きが硬くなるので、乗り心地は犠牲になる。
また、スプリングが硬くなるということは、サスペンションが縮みにくくなり、伸びやすくなるということなので、ストロークスピードを左右するダンパーの減衰力も設定し直す必要がある。
具体的には、車高を2~3センチ落として、スプリングレートは120%程度アップ。ダンパーの減衰力は、縮み側をやや柔らかくして、反対に伸び側はやや硬くするようなイメージが、ひとつの基準となるだろう。
ただし、昨今のスポーツモデルの純正サスペンションは、かなり美味しいセッティングになっているので、とくに不満がないのに、なんとなく交換するのはもったいないし、ときにデチューンになることもあるので要注意。現状に対して、「ここが不満」「ここをもっとこうしたい」という具体的なリクエストがあり、そのための方法論がはっきりしている場合でないと、あまりメリットはないかもしれない。