正しく停止線で止まっても左右が見通せないことも多い
しかし、よくよく考えてみると、停止線で止まっても、その位置では直交する道路が見渡せず、左右からクルマや歩行者が近づいているかどうか、まったく見えないというケースも多々ある。こうした交差点で、停止線で完全停止する意味が果たしてあるのだろうかと、はなはだ疑問だ。
国土交通省の交通安全施設の資料によると停止線の位置は、
① 停止線は、原則として車道中心線に直角に設置する。
② 横断歩道がある場合は、その手前2mの位置を標準とする。
③ 交差道路側の走行車両を十分な見通し距離をもって視認できる位置に設置する。
④ 交差道路側の右左折車の走行に支障を与えない位置に設置する。
ここで重要なのは、②と③。
③を見ると、左右の見通しが効かない位置に停止線を引いてはならないことになっているが、④や②を優先すると、③と矛盾することが多くある。ドライバーとすれば、歩行者がいる場合、当然、横断歩道の手前で止まるが、歩行者がいない場合は、左右が見通せる位置で止まりたくなるし、そうでなければ意味がないと考えるのだが……。
道路交通法に照らし合わせると、上記のとおりだが、一時停止違反等を取り締まっている現場の警察官も、きちんと止まるかどうかを重視していて、停止線を少々はみ出していても、一時停止さえすれば、とくに問題視することはほとんどないというのが現状だ。
ただ、赤信号の場合、きちんと停止線の直前で止まらないと、バスなどの大型車両が曲がってくるときに、通れなくなったりするので、こちらは大きな意味がある。左右の安全確認のための一時停止なのか、その他の理由があるのかを考えて、目的に合わせ、柔軟かつ正しい位置で停止するよう、もう一度自己の運転を見直してみよう。