ベアリングの進化と水冷化でアフターアイドルが必要なくなった
ベアリング部分のオイルはエンジンオイルなので、エンジンが回っているときは循環しています。しかしエンジンを止めると循環しなくなるので温度上昇して、蒸発したり、固形化したり、はたまたメタル部分が焼きついてしまったりします。
ターボのベアリングはフローティングベアリングという特殊な構造で、オイルに浮いた状態になっていて、ターボの超高回転に耐えることができます。その浮いているわずかな高さで、ターボが回転する時の細かな振動を吸収することもできます。
ターボチャージャーの形を見たことのある人も少なくないと思います。両方にタービンがあって、その間にシャフトがあります。このシャフトがオイルの上で浮いて、ベアリングのような働きをします。
ターボの回転数は20万rpmを超えます。そんな高回転を支えるベアリングは、メカニカルなものでは難しかったので、オイルベアリングが採用されてきたわけです。それだけにオイルを適正に管理しないと、ターボが壊れてしまうんです。
ただ最近はターボラグを減らすために、一般的なボールベアリングが使われるようになっています。ターボの超高回転に耐えるように、ボールは軽量で硬いセラミックが使われています。さらにターボユニットは水冷化されているので、しっかり温度を下げていくことができます。
そもそも現在の高性能モデルの多くがターボになっていますが、その多くにアイドリングストップ機構が組み込まれています。容赦なくスパッとエンジンは止められるんです。
エンジンを停止しても、ターボユニットの冷却を考えてクーリングファンが止まらない制御をするクルマもあります。クルマから降りてロックしても、まだまだブーンという音が止まらなくて、慣れないとちょっと心配になったりします。
問題なのはターボやオイルの温度そのものというより、エンジンルーム内の温度を上昇させないために、空気の流れを維持することです。
そういったことを考慮してダウンサイジングターボエンジンを考えると、ターボユニットは前にあったほうがいいんですね。前方排気というシステムになります。さあ、どこのメーカーが前方排気で、トレンドが見えていない後方排気のメーカーはどこでしょうか?
とはいえエンジンの吸排気系を前後逆転させることは、それほど大変ではありません。しかしクルマのプラットフォームで見ると、エンジンの搭載位置や構成が大幅に変わるので、対応がかなり難しくなります。
ターボエンジンはメカニズムの進化もあって、すぐにエンジンを切っても大丈夫です。気にするのであればエンジンオイルのコンディションのほうでしょう。現在の、というより、かなり前からアフターアイドリングは不要だったんですけどね。