徹底的な空力処理と軽量化が行われた
最近は変わってきているが、カローラの80点主義に代表されるように手堅いクルマ作りがトヨタの身上ではあった。ただ、歴史を振り返ってみると、突然独創的でユニークなクルマを世に出すのもまた特徴でもある。
セラや初代MR2などがそうだが、モータリゼーション真っ盛りの1965年に登場したのが、トヨタスポーツ800、通称ヨタハチだ。このヨタハチという愛称は、真っ向勝負のライバルであり、翌年に出たホンダのS800との対比で付けられたもの。こちらはエスハチと呼ばれた。
そのコンセプトは精緻なエンジンを武器にしたエスハチとはまったく異なる。そもそも基本コンポーネンツは当時あった安価な大衆車であるパブリカからの流用と、一見すると大きなハンディがあった。実際、エンジンは水平対向2気筒と、扱いやすさはあったものの、スポーツユニットではない。
まず開発陣が採ったのは、徹底的な軽量化と空力の追求。市販前に1962年の東京モーターショーにパブリカスポーツと名付けられたコンセプトカーが出品されている。そのフォルム自体はヨタハチそのものであるものの、キャビンはなんと飛行機のように全体を後ろにスライドし、そこから乗り降りするというものだった。つまり航空機の思想で作られたクルマと言ってもいい。