【70年代のF1マシン】ターボで革命を起こしたルノー (2/2ページ)

  

ついに実戦デビューを果たしたターボ装着F1マシン

1977 Renault RS01

 テストカーのA500の登場から1年後、1977年8月にシルバーストンで開催されたイギリスGPで、ルノー・ターボの本番用マシン、RS01が実戦デビューを果たしている。シャーシを手掛けたのはアンドレ・デ・コルタンツ。

1977_renault-rs01

A500も手掛けていた彼だったが、旧態然とした鋼管スペースフレームにアルミパネルを張ったセミモノコックから、アルミパネルで成形したツインチューブ・モノコックへとアップデート。

エンジンやインタークーラーへのエアインテークもずいぶんきれいに処理されていたが、シングルターボ+空冷のインタークーラー、というパワーユニットの基本パッケージはそのままで、デビューシーズンとなった77年を戦っている。1977_renault-rs01

 ちなみに、翌78年用へのアップデートでようやく、インタークーラーが空冷から水冷へと進化し、シーズン終盤のアメリカGPで初入賞を果たしているが、77年は参戦5戦中4戦でリタイヤ、1戦は予選落ち。78年も参戦14戦中9戦でリタイヤ、と熟成への道は険しかった。

 多くの場合、オーバーヒートなど熱に関するトラブルでリタイヤすることが多く、湯気を立てている黄色のボディをもじって「イエロー・ティーポット」と揶揄されることもあった。

それでも可能性を信じて開発を続けた結果、新たな時代を切り開くことができたのだ。A500と同様、2016年のフェスティバルofスピードで撮影。ルノー・クラシック・コレクション所蔵で各地に出張することも多い。

ターボ時代の到来を予感させる圧倒的なパフォーマンス

1979 Renault RS14

 RS1の後継として1979年の第5戦・スペインGPでデビューしたモデルがRS10。デビュー4戦目、ホームレースとなるフランスGPで見事初優勝。F1GP用ターボ・エンジンの開発を手掛けてきたドライバーのジャン-ピエール・ジャブイーユにとっても、F1GPに初めてラジアルタイヤを導入したミシュランにとっても初の栄誉だった。1979_renault-rs14

デザインを手掛けたのは、ゴルディーニで腕を磨いてきたフランソワ・キャスタンと、シャルル・ドゥーチェ、リジェ、そしてアウトデルタ(アルファ・ロメオ)と渡り歩いてきたミッシェル・テツ。

 ターボエンジンがツインターボ+水冷インタークーラーにたどり着くと同時に、空力面でもRS1でトライしていた、ロア・ウイングの翼端板を上方に伸ばして一体でU字型に成形し、それにアッパー・ウイングをマウントするスタイルを採用した。

1979_renault-rs14

これはルノーF1のアイデンティティとなった。前述したように79年のフランスGPで初優勝を遂げると同時にナンバー2のルネ・アルノーも3位入賞を果たすなどそのパフォーマンスは圧倒的で、80年代からのターボ時代を予感させるものだった。

 RS10はシリーズとしてのネーミングのようで、79年のフランスGPで優勝した個体はRS14のネーミングだった、と展示パネルにあった。これもルノー・クラシック・コレクションの所蔵車両で、2013年にマラネロのカーサ・エンツォ・フェラーリ博物館で開催されたF1GP企画展で撮影。


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