4輪がシッカリ接地した状態では曲がりにくいなどのデメリットも
欠点は、一定速度で旋回したり、四輪が接地した状態で旋回制動しているときは内輪の回転のほうが遅いので、LSDにより内輪の駆動力が増えて、旋回と逆方向にヨーモーメントを起こし、曲がる力を阻害しターンインの最初が曲がりづらくなってしまうこと。
また、脱出時も旋回中にアクセルを強く踏むと、内輪の摩擦円はすでに小さくなっているので、内輪が空転気味になるので、外輪に駆動力が大きくなり、旋回方向へのヨーモーメントが大きくなる(プラスのヨーなので、オーバーステア気味)。
一方、トルク感応式は、LSDの効き方がマイルドで、ヘリカル式などは、FF車との相性がいい。
ただし、このタイプは完全にインリフトしてしまうと、LSD効果は失われてしまう。それらの欠点を克服するために開発されたのが、電子制御のアクティブLSDだ。各種センサーからの情報をもとに、コンピュータが差動制限を制御するので、理想的な効き具合を引き出せる。
また、コンピュータのデータを書き換えるだけで、セッティングも自由自在というメリットもある。デフの容量と熱などの耐久性に関しては、改善の余地があるところだが、これからは間違いなく、電子制御LSDの時代。
とくにフロント、センター、リヤの3つのデフをもつ4WD車では、サスペンション以上に電子制御LSDのセッティングが、ハンドリングチューンを大きく左右するはずだ。
ただし、くどいようだが、世間一般ではLSDといえば麻薬のこと。筆者は大学生時代、愛車にLSDを入れて上機嫌でキャンパスに行ったところ、クルマに詳しくない友人からゴキゲンの理由を訊ねられたことがある。
そこで、よくぞ聞いてくれたとばかり、自慢げに「ついにLSDを買ったんだよ。アレは効くね~。とってもハッピーだよ」と答えたところ、思いっきり友人たちから引かれてしまい、噂に尾ひれがついて、苦労したことがある(実話)ので、気を付けよう。