もともとは1972年に誕生したBMWのモータースポーツ活動を担う会社
BMWのラインアップにおける「M」といえば、各モデルにおけるハイパフォーマンスといった位置づけ。セダンやクーペでは「M#(#はシリーズの数字)」、クロスオーバーでは「X#M(#はシリーズの数字)」といった車名と、特別なハイパワーエンジンが与えられている。
その「M」モデルの開発を一手に引き受けているのがBMW M有限会社であることは知られている。では、そのMは何を意味しているのだろうか。それを知るには、BMW M社の創業まで遡る必要がある。
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もともとBMWのモータースポーツ活動を担う、いわゆるワークスとして生まれたのが「BMW モータースポーツ 有限会社」。この組織が、後にBMW M社へと改名している。つまりMが示すのはモータースポーツというわけだ。
さて、BMWモータースポーツ社が生まれたのは1972年5月。翌1973年からのレース、ラリーへのワークス参戦を目的としていた。そのリーダーとなったのは、元ポルシェワークスドライバーだったヨッヘン・ニーアバッシュ氏。名車2002に2リッター4気筒4バルブエンジンを載せたマシンがラリー用に、3.3リッター6気筒2バルブエンジンを載せた3.0CSLがサーキットレースに向けて用意された。
参戦初年度からル・マンでクラス優勝を果たすなど完璧ともいえる成果を残したBMWモータースポーツ社だが、あくまでもレーシングカーを製作とマネージメントが業務内容であった。