ブレーキオーバーライド装備車なら左足ブレーキも効果的か
もちろんプリクラッシュセーフティシステムの技術的な進化も期待できるが、ドライバーがやれることとしては、停車時にATであればPレンジやNレンジに入れるクセをつける、パーキングブレーキを積極的に活用するといった基本的なことになるだろう。
また、後退時などにドアを開けたり、窓から顔を出したりして後ろを確認する人もいるが、そうした体をひねる行為は加齢と共にペダルの踏み間違いにつながりやすい。こちらもハードウェア次第の部分だが、バックモニターやクルマを上から見下ろすようなモニターシステムも活用するようにして、運転姿勢を大きく動かさないような工夫も必要だ。
乗降時にアクセルペダルを踏んでしまうこともあるので、乗る前にエンジンをかけるクセがあるドライバーは、かならず座ってからエンジンを始動するようにもしたい。また、ATだけしか運転しないというのであれば、左足ブレーキを習慣にしてしまえばいい、という指摘もあるだろう。
このレベルの運転技術になるとドライバーそれぞれのスキルが異なるので強制するのは難しいだろうが、MTを運転できるスキルを持っているということは左足で微妙なクラッチ操作ができるというわけで、意外に左足は器用なのかもしれない。なお、最近のクルマであればブレーキオーバーライドシステムといってABペダルを同時に踏むとブレーキペダルが優先される機能が備わっているので、両ペダルに足を置いて踏ん張れば、自然とブレーキが効くようにはなっている。
ちなみに、MTにすることで重大事故が減るという指摘はいささか疑問だ。ATの特性上起きやすい事故についてはMTを増やすことで減るのは間違いないだろう。しかし、MTの運転免許の取得に時間がかかるということは、それだけスキルが必要とされているわけで、MTと加齢などによる運転スキルの衰えという組み合わせだから起きてしまう別の事故を誘発する可能性まで考慮すべきだと考えられる。
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イタルダインフォメーション No.86
特集 運転操作の誤りを防ぐ ─駐車場、高齢者に多いペダル踏み間違い事故─
http://www.itarda.or.jp/itardainfomation/info86.pdf