トヨタ・ダイハツ・スバルも合わせて月販9000台目標の超強力販売網
2016年夏にトヨタの完全子会社となったダイハツ。軽自動車シェアトップの技術を活かしたコンパクトカーを生み出すことが、トヨタグループ内における役割となっている。その第一弾といえるのが、両側スライドドアのトールワゴン「ダイハツ・トール」、「トヨタ・ルーミー/タンク」だ。
一見すると軽自動車で人気トップを争うダイハツ・タントを拡幅したようなイメージもあるが、ハードウェアとしては別物。あくまでも軽自動車という限られた枠のなかで目的に応じたベストアンサーを見つけ出す同社の経験を活かしたコンパクトカーといった位置づけだ。
さらに、このニューモデルでは1リッターガソリンターボエンジンを新開発、1.5リッター級の140N・mという最大トルクを発生することで、走りの余裕を生み出しているのも話題だ。しかし、そこに組み合わせられるトランスミッションには、トヨタとダイハツが一体となって新たなスモールカー戦略を始めたことが見て取れる。
これまでダイハツのCVTは内製だったが、ターボエンジンにはサプライヤーに手配したCVT(アイシン製)が採用されているという。単にトランスミッションの入力トルクの関係なのかもしれないが、購買・調達といった分野でさまざまな思惑が生まれていることを予感させる。
この点はライバルにとって驚異だ。一般論だが、部品の調達は規模が大きくなるほどコストダウンにつながる。とくにコストに厳しいコンパクトカーで、さらに乾いた雑巾を絞るがごとく部品コストを下げるには、同一モデルを幅広く売ることによる規模の拡大は有効だ。
実際、この新型車の月販目標はダイハツで1000台、トヨタの2台を合わせて7500台、さらに「スバル・ジャスティ」として供給することで、全体で9000台の規模となっている。国内向けの商品でいえば、これだけの販売網を確保できるコンパクトカーは、ほかにない。
価格競争力、販売力でアドバンテージをもつ、トヨタとダイハツの新コンパクトカー戦略にライバルが互角に戦うためには、斬新なアイディアや圧倒的な商品力が必要となることだろう。