日本は電気料金が高いためにアルミの精製コストが高く付く
アルミニウムはボーキサイトという鉱物を処理して酸化アルミニウム(アルミナ)が精製され、それを電気分解することでアルミニウムとなります。この段階で電気が必要になるわけです。日本では、こうしたアルミニウムの精製は電気料金が高くて競争力がないので、現在は行われていません。
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たとえば工業用電気料金でいえば、日本はアメリカの3〜4倍にもなると言われています。鉱物のボーキサイトは地球の地殻を構成している物質のひとつで、比較的安価なだけに、後処理となる電気分解のコストが大きくのしかかってくるのです。アルミの価格は電気代、と言われるほどなのです。ホンダが新型NSXの生産拠点をアメリカ・オハイオとしたことは、当然の成り行きなのです。
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日本ではとても高くつくアルミボディですが、将来的な可能性はあります。たとえば生産コストは部品点数も大きく影響します。形状の設計自由度が高いことを生かして、鉄であれば5〜6個となる部品を一体化して1個にすることができれば、製造部分でのコストは大幅に低くなります。溶接しないので精度も上がるし、管理コストも低減することができます。そうすることで、生産コストの圧縮が可能なのです。
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もしかすると気がつけばスズキが軽自動車にアルミボディ、というような時代が来るかもしれません。スズキもまた、ホンダと同様にバイクの世界でアルミニウムを十分に経験しているからです。
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