■クリーンディーゼル
●魅力
①動力性能の高さ
ディーゼルエンジンは高回転域こその伸びこそないが、中低速域のトルクが非常に太く、日常的、常識的な使い方でも力強い加速を味わえる。
②高負荷時の燃費の低下が少ない
力強さが特徴のディーゼルエンジンは前述した高負荷時の燃費の低下が少ない。ハイスピードで走ることが多いヨーロッパでハイブリッドカーよりクリーンディーゼルが支持されているのはこの点が大きな理由だ。
●弱み
①低負荷時の燃費の優位性はそれほどではない
クルマによる違いも大きいが、当然ながら燃料を使わないEV走行ができない、ハイブリッドカーのような電動エアコンを使えないクリーンディーゼルの市街地の燃費はハイブリッドカーに劣る。
またクリーンディーゼルには黒煙の原因になるススを吸収するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)が付いており、DPFは中身が一杯になると高温になったDPFに軽油を吹きかけ燃やすという形で再生を行う。そしてそのサイクルは、市街地走行に代表される負荷の小さい走行パターンが多いと短くなる。軽油を使うDPFの再生の際には燃費が落ちるため、負荷の小さい走行パターンが多いと結果的に燃費が落ちる悪循環が起こる。
さらにクリーンディーゼルは低負荷の走行が多く続くとエンジン内部に煤が溜りがちで、煤が溜ると場合によってはエンジンの調子を崩すというケースもあり(9月に発表されたマツダがデミオ、CX-3、アクセラに搭載される1.5ℓのスカイアクティブDのリコールが象徴的だ)、このことは低負荷時の燃費と関連性がある。
②振動、騒音の大きさ
現在のクリーンディーゼル車であれば走行中の車内騒音がうるさいということほとんどなく、車内騒音に関してはむしろ「ディーゼルの方が心地いい」という人もいるほどだ。しかしかつてのディーゼル車に比べれば劇的に改善されているにせよ、車外騒音とアイドリング中の騒音はガソリン車やガソリンエンジンを積むハイブリッドカーに比べ大きいのは否めない。
このためクルマによっては深夜に帰宅した際の車外騒音が大きい、市街地でアイドリングストップしなかった際のアイドリング中の振動が気になるというケースもある。