シエンタを使って費用を中心に徹底比較
日本においてはハイブリッドカーが完全に市民権を得たこともあり、今ではとくにトヨタ車とホンダ車を中心にガソリン車とハイブリッドそれぞれが設定されるモデルも多数ある。そうなると「ガソリン車とハイブリッドがあるクルマから選ぶ場合には、どちらを選ぶべき?」という疑問が起きるのも当然である。
という訳で今回はガソリン車とハイブリッド両方を設定するコンパクトミニバンのトヨタシエンタをサンプルに実測した燃費データも交えながら、長い目で見た損得勘定やそれぞれのメリット、デメリット、迷った際の選び方などを考えてみよう。
トヨタシエンタの価格、カタログに載るJC08モード燃費
・ガソリン車 Gグレード 198万327円 JC08モード燃費20.2㎞/ℓ
・ハイブリッド Gグレード 232万9855円 JC08モード燃費27.2㎞/ℓ
●実用燃費
実用燃費はガソリン車、ハイブリッドのシエンタを同時に高速道路(約70㎞)、郊外路(約50㎞)、市街地(約60㎞)、合計約180㎞の道のりを昨年10月に走らせ計測したもの。なお当日は最高気温29度とそれなりに暑い中、オートエアコンを25度にセットし走行した。
■高速道路での燃費
・ガソリン車 19.7㎞/ℓ
・ハイブリッド 20.9㎞/ℓ
高速道路での燃費差は予想外に少なかった。要因としては、以前ハイブリッドカーとクリーンディーゼルの比較で書いた、車重や空気抵抗といった「クルマ自体の負荷」がシエンタはミニバンというジャンルのためコンパクトクラスながらも大きいためだろう。
このためテスト時は1名乗車であったが、実際の使用で乗車定員フル乗車、上り坂が多い高速道路などの負荷が増えると、シエンタの場合はガソリン車がハイブリッドの燃費を上回ることも十分考えられる。
■郊外路での燃費
・ガソリン車 15.2㎞/ℓ
・ハイブリッド 23.1㎞/ℓ
※郊外路ではハイブリッドがガソリン車を50%上回る燃費を記録
■市街地での燃費
・ガソリン車 12.6㎞/ℓ
・ハイブリッド 21.1㎞/ℓ
市街地ではハイブリッドがガソリン車の倍近い燃費を記録。やはり発進時を含むEV走行ができ、加減速が多い市街地では回生制動による減速エネルギーの電力への変換、エアコン使用時でも電動エアコンによるアイドリングストップする時間の長さなど、市街地ではハイブリッドカーのメリットは大きい。
■総合燃費
・ガソリン車 15.5㎞/ℓ
・ハイブリッド 21.5㎞/ℓ
※シエンタの場合、ハイブリッドの燃費はおおよそガソリン車の50%増しといったところ。
ただし、前述したような負荷が多い使用パターンや電動エアコンを持つハイブリッドカーでも特にシエンタのようにキャビンの広いクルマだと30℃を大幅に超える猛暑になると、エアコンを駆動するためのバッテリーが足りなくなり、頻繁にエンジンが始動し、結果的にアイドリングストップする時間がガソリン車と大差なくなるなどの要因が重なると、ガソリン車とハイブリッドの燃費の差は縮まる可能性もある。