VWから放出された3名の「勝てる」ドライバーの獲得が鍵
ドライバーズ部門およびマニュファクチャラーズ部門で4連覇を果たしながらも、2016年をもってWRCからの撤退を発表したフォルクスワーゲン。
これにより2017年のWRCはシトロエン、ヒュンダイ、フォードのカスタマーチームであるMスポーツ、そして復帰参戦を果たすトヨタの4チームでタイトル争いが展開されることになるが、このフォルクスワーゲンの撤退はトヨタにとって大きなプラスとなるに違いない。
というのも、4連覇を果たしたセバスチャン・オジェを筆頭にヤリ-マティ・ラトバラ、アンドレアス・ミケルセンなど優勝経験のあるフォルクスワーゲンのドライバーたちが、突如としてストーブリーグに放出。
すでに発表されているユホ・ハンニネンを除いて、いまだドライバーのラインアップが確定していないトヨタにとっては“勝てるドライバー”を起用できるチャンスだといえるだろう。
なかでも、最大の注目を集めているのが、オジェの去就にほかならない。未だ体制を確定していないMスポーツがいち早くオジェとの交渉を開始したほか、クリス・ミーク、クレイグ・ブリーン、ステファン・ルフェーブルら3名の起用を発表しているシトロエンもオジェ獲得を熱望。
さらにトヨタに関してもチーム代表のトミ・マキネンがフィンランドメディアに対して「シートのない2名の最速ドライバーがいる。彼らを迎え入れることに興味を抱いている」と語っているだけにオジェおよびラトバラの獲得に乗り出したようだ。
ラリー競技はレース競技以上にドライバーのパフォーマンスがリザルトを左右すると言われていることから、仮にトヨタがオジェを獲得することができれば参戦初年度からトップ争いを展開する可能性が高い。
さらに抜群のスプリント能力を持つラトバラもチームの拠点が同郷のフィンランドであるほか、同じくフィンランド出身のハンニネンがヤリスWRCのテストドライブを担当していたことからスムーズな移籍が可能で、こちらも初年度から上位争いを展開することかできることだろう。
もちろん、ミケルセンも抜群の安定性を誇ることから、マニャクチャラーズポイントの獲得や新型WRカーのデータ収集に貢献できるだけにトヨタにとってはプラスの人材といっていい。
いずれにしても元フォルクスワーゲンの3名は今後の勢力争いに大きな影響を与えるドライバーだけにその動向に注目したい。