奴田原選手の同乗もある実戦向けの内容
ヌタハラ ラリースクールは、その名のとおり、2006年に世界ラリー選手権(PCWRC)「ラリー・モンテカルロ」で日本人として初めて優勝し、全日本ラリー選手権では、シリーズチャンピオンを9度(この11月5日に開催となった新城ラリーで王手が掛かっていたものの残念ながら10度目のチャンピオンには届かず)獲得したトップラリースト・奴田原文雄選手が、ラリー経験者向けに開催するステップアップラリースクールである。
実際にその会場へ足を踏み入れてみると、ラリーをやってみたいという未経験者や奴田原選手のファンがやってくるというものではなかった。ラリー経験のある”ガチの参加者”だらけなのだ。
谷口ドライバーはこれまでワンメイクレース、そしてスーパー耐久シリーズにも参戦経験をもつドライバーである。が、ドライバー、コ・ドライバーともにラリーは今シーズン初挑戦、チーム結成も参戦初戦のわずか1か月前という、出来立てのペアだ。にもかかわらず、ネッツ群馬G’SPiCEのアクアで2016のTGRラリーチャレンジ(チャレンジカップ東シリーズ)に2戦出場。渋川3位、福島3位と好成績を収めている。
年配のベテランがひしめいているのかと思っていたというが、スクールに参加して最初の印象は、若手もいて驚いたというもの。年齢は関係なくもっと速く走るために熱意のあるラリーストが集まっているという印象だったという。なかには30万円でもくる価値がある、という参加者もいた(講習費用は1泊2日でドライバーとコ・ドラ2名1チームで20万円)そうだ。
また、ラリーの現場では、レッキ(試走)の際にペースノートを作っていくのだが、今回そのレッキのペースが遅いと奴田原選手から指摘されたという。ペースが遅くなることで必要のない情報を拾ってしまい、それが本番の邪魔になることがあるという。その指摘には2人ともに納得。
谷口ドライバーは当初から「どうしても1本目のタイムが遅く2本目とのタイム差がありすぎるため、1本目から攻めた走りをするにはどうしたら良いか」という課題をもっていたようだが、このペースノートづくりの重要性に気が付いたという。「レッキでは本番でのスピードを意識した走りができていなかったこと、私の表現力が乏しく必要な情報を伝えきれていなかったこと、そのためにペースノートの完成度が低く、有視界に頼る走りになりタイムも出ず、ということでした」という。
初日の夕方からの懇親会では、奴田原選手がどのようにして世界への挑戦のきっかけなど、若い参加者にとっては興味深い内容だったようだ。
次回の開催は、第3回浅間ステージ(グラベル/11月19-20日) となるのだが、すでに申し込みは受付終了している。次々回は1月21日-22日のスノーステージ。ひと月半前には申し込みがスタートするので、年末はチェックを怠りなく。ちなみに毎回募集定員は4組8名限定となる。
(写真:NUTAHARA RALLY SCHOOL、木村博道、原田貴俊)