この記事をまとめると
■ターボやスーパーチャージャーには「ブースト圧」というものがある
■単位は「kgf/cm2(正圧)」がメジャーだったが、最近は国際単位「k Pa」で表示されている
■「ブースト圧」の意味について詳しく解説する
エンジンに送り込む空気の圧縮した圧力を指す
ブースト圧とは、ターボチャージャーやスーパーチャージャーが排気ガスの力(ターボ)、もしくはエンジン(スーパーチャージャー)の力で、コンプレッサーを回し、空気を圧縮したときの空気の圧力=「過給圧」のこと。
単位は、1平方cmの面積に何kgの力が加わっているかを示す「kgf/cm2(正圧)」がメジャーだが、1999年9月に計量法が改定となり、最近のカタログやブーストメーターでは、国際単位「k Pa」で表示されている。
とはいえ、「1kgf/cm2=98.07kPa」なので、「ブースト何キロ」といったときは、「kgf/cm2」でも、「kPa」でも、基本的には大差ないと思っていいはずだ。
チューニング業界などでは、「ノーマルのブースト圧が、0.7kgf/cm2だったのを、1.0kgf/cm2までブーストアップ」といった具合で、相変わらず「kgf/cm2」の方が一般的だ。
ところで、このブースト圧0.7kgf/cm2、1.0kgf/cm2といった数字は、具体的には、どういう意味か。
大気中の空気には、およそ1気圧(標準大気圧=海面上で 1013.25 hPa 水銀柱圧で760mmHg)の圧力がもともとかかっている。
日本で「ブースト圧=0.7 kgf/cm2」といった場合、大気圧に加えて、さらに0.7kgf/cm2の圧力がかかっている状態のこと。つまり、標準大気圧は0kgf/cm2として、加圧された分だけカウントしている。専門的には、これをゲージ圧もしくは相対圧という。
一方、欧州車などでは、標準大気圧=1.0kgf/cm2とし、ターボで0.7kgf/cm2加圧した場合は、1.7 kgf/cm2と表記するケースが多い。こちらは絶対圧という表示方法なので、混同しないように気を付けよう。
というわけで、日本でブースト圧=1.0kgf/cm2といった場合、大気圧+1.0kgf/cm2で、排気量が2リッターのエンジンなら、大気圧の2倍の空気密度=自然吸気で4リッター分の吸入空気量をエンジンに吸わせていると考えていい(前記の通り、これはゲージ圧なので、厳密には大気の2倍とはいえない)。