リム幅の中心線とホイール取り付け面との距離
オフセット・インセット共に、ホイールのサイズを表す数字のひとつ。単位は「mm」。リム幅の中心線とホイール取り付け面との距離を表していて、カタログだけでなく、ホイール本体ウラのサイズ表示近くに刻印されている。
従来は、一般的にオフセットと呼ばれていたが、これは日本だけのローカルな呼称だったので、2008年7月11日より国際基準に合わせて、従来のプラスオフセット(リム幅の中心よりも取付面が車体外側にあるもの)のことを「インセット」、マイナスオフセットは「アウトセット」に、オフセット±0は「ゼロセット」と表示するように変更された。
ただし、現実的にはアウトセットやゼロセットのホイールは、ほとんどないので、インセット何ミリという表記しか見かけないはずだ。
同じデザイン、同じ直径のホイールでも、このインセットの値が大きくなると、クルマに装着したときに、ホイールはよりフェンダーの内側に入る。反対にインセットが小さいホイールは、ホイールの装着位置がより外側になる。
ドレスアップで、いわゆる『ツライチ』にするため、「あと何ミリぐらいホイールを外側に出したい」といったときは、このインセット値で調整すればいい。しかし、ルックスの面ではメリットがあっても、インセットを小さくして、タイヤをより外側に出すのは、メカニズム的にはデメリットが多い。
まず、操舵回転の中心の軸=キングピンから、タイヤ接地面の中心線の間隔(スクラブ半径)が広がることになるので、ハンドルが重くなり、轍などの路面の影響によって走行時にハンドルが取られやすくなる(路面からのキックバックが大きくなる)。
パワステだから影響は無視できると思うかもしれないが、クルマへの負担が増すのは間違いない。
サスペンションも、サスの付け根からタイヤが遠くなることで、レバー比が大きくなり、同じスプリング&ダンパーでも、やや柔らかくしたのと同じ効果が表れる。
また、車体の重心位置からタイヤの位置が離れると、タイヤにかかる荷重のベクトルが変わり、絶対的なグリップが下がり、その代わり滑り出しはマイルドになる。
レーシングカートの経験者なら、前後のトレッドを数ミリでも変えただけでも、ステアリング特性が変化するのはよくわかるはず。とくにフロントのトレッドを広げると、アンダー傾向が増すので、好ましくない。
その他、ツライチに近づけば、ボディとの干渉などのリスクもあるので、あまりルックス重視でインセットを小さくするのは、得策とはいえないだろう。