【70年代のF1マシン】最高のサウンドをもつV12も作ったイギリスの名門BRM (3/4ページ)

赤と白に塗り分けられたマールボロ・カラーのパイオニア

1972 BRM P180・BRM P142 2998cc 60゜V12

 マールボロ・カラーのF1マシンといえば、まず真っ先に思い起こされるのがマクラーレンだろう。だが、F1GPシーンで最初に、赤と白に塗り分けるマールボロ・カラーで登場したのは1972年シーズンのBRMだった。もちろんカラーリングだけでなくマシンそのものも大きく変更されていた。

71年シーズンをP153の改変モデルであるP160で戦ったBRMは、72年シーズンに向け大幅に進化させたP180を用意。発表時にはスポーツカーノーズを採用していたが、これがウイングノーズの両サイドにフロントタイヤ用のフェアリンクを装着したような形状で、空力に対する新たなチャレンジでもあったように思われた。残念ながら、実戦デビューに際しては一般的なウィングノーズにコンバートされており、セットアップが難しいことを窺わせた。

1972_brm-p180

またこれも空力的なトライだが、モノコックを低くし、コクピットはカウル部分がそびえ立つような形状とされたが、スリムさを追求するあまり、ステアリングに干渉するようになり、その“逃げ”としてホールが設けられている。何よりもラジエータをテール部分にマウントするパッケージが特徴的だった。前作に続いて、デザインを手掛けたのはトニー・サウスゲート。

 ヨーロッパ・ラウンド序盤のスペインでデビュー。ただし熟成に手間取り、前年モデルをアップデートしたP160Bが主戦で、ジャン-ピエール・ベルトワーズがモナコで挙げたシーズン唯一の勝利もこれによるものだった。

写真はドニントンGPコレクションに収蔵展示されている72年仕様のP180。ちなみに、70~71年とタイトルスポンサーだったヤードレイ化粧品は72年からマクラーレンのタイトルスポンサーとなっているが、マールボロもまたBRMを73年限りで去り、タイトルスポンサーとしてマクラーレンへと移っていった。


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