発電するために吸収する力を減速に使うこと
回生というのは「生き返る」「蘇る」という意味です。クルマや電車では、運動エネルギーを再び使えるエネルギーへと戻す、つまり電気に変換することを回生といいます。回生してバッテリーなどに貯えておいて、必要になった時に使用するわけです。
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本来であればブレーキなどによって物理エネルギーは摩擦熱へと変わり、熱として発散されます。その一部分を回生し再利用することで、エネルギーロスを小さくします。つまり、エネルギーのリサイクルなんですね。
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回生ブレーキというのは、制御の名前です。そういうメカニズムが存在するわけではありません。モーターは電気を与えると力を出しますが、逆に発電させようとすると力を吸収します。この吸収する力をブレーキとして使うわけです。
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ドライバーがブレーキを踏むとコンピューターが回生ブレーキを作動させます。ただ回生ブレーキは起動にタイムラグがあり、駆動輪にしか作動しませんからブレーキとしては不完全です。そこで通常の油圧ブレーキも共存させています。
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もう少し具体的に説明しましょう。ドライバーがブレーキを踏むと、まず油圧ブレーキが作動します。コンピューターは回生ブレーキを作動させ、ドライバーが求めているブレーキの強さを判定して、回生ブレーキの強さを制御します。
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そして同時に、その分だけ油圧ブレーキを弱くします。油圧ブレーキ+回生ブレーキがクルマのブレーキ力になりますから、調整する必要があります。このシステムは回生協調ブレーキと呼ばれています。
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初期の回生ブレーキは、油圧ブレーキの上に弱く一定の回生ブレーキを重ねるものでした。しかし、それでは回生量が少ないので、最大限の回生量が確保できる回生協調ブレーキへ進化しました。
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