自動車メーカーはなぜニュルブルクリンクでテストをするのか? (2/2ページ)

コース脇は誰でもいつでも入れるので隠し事はできない

 ニュルが一般のクルマ好きにもその名を知られるようになったのは、1989年にデビューした日産スカイラインGT-Rが、国産車ではじめて本格的なニュルでの開発テストを行い、当時の量産車最速タイムを塗り替えたのがきっかけ(8分20秒 もっともR32 GT-Rのブレーキはコースの半分以下、8km地点で根を上げてしまった)。

 その後歴代GT-RやホンダのNSX、スバルインプレッサ、最近ではレクサスなどもここで開発の最終テストを行っている。

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 こうした世界の自動車メーカー・タイヤメーカーの開発テストは、ウィークデイの日中「インダストリーディ」という時間帯でおこなわれるが、これはどこか1社が専有する時間ではなく、ニュルの企業共同体に登録したメーカーによる共同の専有時間なので、各社混走以外では走れない。web-cartop

 それはたとえ量産前の試作車であっても同じこと。量産前の試作車というのは、そのデザインから寸法、パフォーマンスまで絶対機密というのが各国共通の自動車界の常識。それでもニュルでテストをしたければ、隠し事は禁物。WEB CARTOP

 ボディにマスクをしたりして顔は隠したりしているが、肝心要のパフォーマンスはライバル他車にも全部筒抜けとなる。それどころかニュルのコース脇はいつでも誰でも出入り自由(無料)なので、部外者だって旅行者だって開発中の車両の走りが見放題。WEB CARTOP

 かくしてニュルは世界で唯一の公開テストコースにもなっている。それだけにこのインダストリーディの走りは一見の価値あり。次世代スポーツカーの実力も、各社のテストドライバーの力量も見る人が見れば一目瞭然。

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 今のところ、ご存知ポルシェとBMWの2社がクルマのポテンシャル、テストの本気度、ドライバーのスキルの総合点で、インダストリーディの両横綱だ。この2社は明らかに別格で、そのあとにVWやベンツなどが続いている。国産車は地理的な関係もあって、どうしてもお客さん的なポジションだが、強いていえば日産とホンダは健闘しているといえるだろう。WEB CARTOP

 ちなみに、日本のメーカーでもっともニュルになじみが深いのはタイヤメーカーのブリヂストン。ポルシェの承認タイヤの開発をきっかけに徹底的な実走テストを繰り返したことで有名だ。


藤田竜太 FUJITA RYUTA

モータリングライター

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日産スカイラインGT-R(R32)/ユーノス・ロードスター(NA6)
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