足を硬くすると車高を下げ重心を低くできる
スポーツカーの後を走っていると必要以上にクルマが跳ねているのを見たことはないだろうか。そもそもサスペンションは何のためにあるかというと「タイヤの路面追従性を高めるため」「路面からの入力を吸収し、乗り心地をよくするため」だ。
レーシングカーやスポーツカーでは、当然前者を優先するが、サスペンションが硬すぎたり、まったく動かないノーサス状態では、路面の凹凸でタイヤが跳ねて、接地性が悪くなる。つまり(グリップの)限界が低くなる。
一方、フワフワの柔らかいサスペンションにすると、車体(バネ上)の動きが大きくなりすぎて、速くは走れない。したがって、ベストなセッティングは、ガチガチとフワフワの間のどこかということになる。それがどこかは、重心やタイヤのグリップ力で変わってくる。
簡単にいえば、重心が低くなれば、4輪すべての接地性が上がるので、サスペンションが硬くても速く走れる。コーナリングでいえば、重心が低ければ低いほど、インサイドのタイヤのグリップ力が有効に使え、タイヤ4本合計のグリップ力が大きくなり、限界はより高くなる。
また、重心が低ければコーナリングの揺り返し時のロールモーメントが小さくなる。同様にピッチングモーメントも小さくなるので、重心が低いと荷重移動量が少なくなり、クルマの動きは俊敏になり、おつりももらわないようになる。
だからスポーツカーは、できるだけ車高を下げたい。そして、サスペンションを硬くすれば、それだけ車高が下げられる。大雑把にいえば、サスペンションストロークが50ミリあるクルマのサスペンションの硬さを、2倍にすれば、サスペンションストロークは半分に減らせ、車高は25ミリ下げられる。
たかが25ミリといっても、サーキットでいえば、コース1周の平均車高が下がるので、4つのタイヤの合計グリップはかなり増やせるので効果は大きい。だから、レーシングカーやスポーツカーでは、サスペンションが硬くなる傾向があるのだ。