デキのいいサスはコンフォート性とスポーツ性を両立している
ただし、硬すぎると前述のように、タイヤの接地性が悪くなるし、車高を下げることで、サスのジオメトリーも変わり、ロールセンターが下がる、バンプロックするなどのデメリットも出てくるので、硬くすればいいというものではない。
基本的には、ハイグリップタイヤであればあるほど、硬めのサスペンションでもサーキットならタイムが出るが、そうしたクルマはタイヤへの依存度が高く、タイヤの摩耗が進みやすいので、デキがいいクルマとはいえない。
F1など、空力によるダウンフォースが、メカニカルグリップと同等以上に重要なレーシングカーは、できるだけ路面とフロアのクリアランスを一定に保ちたいので、サスによる路面の追従性より、姿勢変化を押さえることを優先する傾向があるが、それでも優秀なレーシングカーほど、サスペンションはよく動いている!
ときどき、ノーマルサスでもフラットな路面しか考えていないのでは? と思えるようなスポーツカーが登場するが、ちょっと時代遅れというか、セッティングの煮詰め不足の感が否めない……。いまの技術なら、しなやかなサスで接地性を稼ぎ、コンフォート性もそこそこというのが、レベルの高い足回まわりといえるだろう。