拡張性を重視しモノコックではなくフレームを採用
新型になったのにボディは初代と同じアルミ、とはいえ中身は全然別モノです。初代はオールアルミモノコックボディです。これは剛性と重量をもっとも高いレベルで作ることができます。
それに対して新型はアルミスペースフレーム構造で、絶対的な剛性や重量は不利ですが、剛性を高めたり、オープン化したり、ボディサイズを伸縮したり、ボディパネルを変更するのは圧倒的に楽になります。
アルミスペースフレームはアウディがA8やR8に採用しています。A8ではホイールベースが2種類あったり、またR8ではボディ後方のセクションだけを設計変更して、サイズ的に難しいとされていた7速DCTを搭載しました。
ホンダがアルミスペースフレームを採用した理由は、そうした拡張性の高さが欲しかったのかもしれません。ハイブリッドを外したシンプルなNSXを作ろうと思えば、最適な剛性と重量で作り替えることができることでしょう。
なぜ拡張性が必要なのか? 拡張性の悪さが初代NSXが抱えていた問題点であり、それが進化を難しくし、結局ライバルたちの進化を追いかけることができませんでした。対して新型では拡張性を盛り込んだことで、大幅なメカニズムやボディデザインの変更が可能になっているのです。
新型NSXなら、V8だろうが、V10だろうが、比較的簡単に搭載することができます。つまりホンダは今後NSXを継続的に進化・発展させながら、作り続けていきます! と宣言しているように見えるのです。
スペックマニア的な気分でいえば、アルミよりもカーボンのほうがエライ感じはしますが、現実的に考えればカーボンを使えるのセンターのモノコックタブだけで、前後はアルミスペースフレームになります。
音や振動といった快適性を考えるとアルミのほうがずっと楽なはずで、デートからサーキットまでオールラウンドに楽しむことを考えるなら、ベターな答えだったかもしれません。