3気筒はエンジン自体をねじるように1番と3番のシリンダーが動く
直列3気筒には、じつは直列4気筒のような2次振動は出ないものの、まったく別の種類の振動が発生します。それが偶力振動というもの。エンジンを横から見て左右対称にピストンが動けば発生しないので、直列4気筒では出ません。直列3気筒では中央のシリンダーは偶力には無関係なので無視して、前後のシリンダーの位置関係だけが問題になります。
一般的な直列3気筒では、前のシリンダーが上に向かっている時に後ろのシリンダーは下向きから上向きに、前のシリンダーが下に向かっている時には後ろのシリンダーは上向きから下向きへ、方向を転換しながら動くことになります。
つまりエンジンを横から見て、回転させる力が発生することになります。これが偶力です。エンジンをスリコギのように揺らすので、それがパワートレイン全体を揺らす振動になっているんです。それが3気筒特有の振動感の正体なんです。バランサーシャフトを付けることで対策することができますが、バランサーシャフトの駆動力がエネルギーロスになりパワーと燃費を悪化させてしまうので、そのあたりは難しいところです。
最近はエンジンマウントを大容量化したり、アンバランスをあえて回転系にプラスしてバランサーシャフトのような効果を与えたりして、1リッターを超えるような3気筒エンジンでも振動は改善されています。エンジンの制御もあって、4気筒に対して、3気筒の振動が大きなデメリットになることはないでしょう。常識化しているアイドリングストップ機構も、アイドル振動の強い3気筒にとっては追い風です。
しかし、そもそも3気筒と4気筒では、使える回転域が違います。エンジンの気筒数は増えれば増えるほど、低回転域も高回転域もパワーバンドが拡がっていきます。最新のエンジンであれば4気筒なら1100rpm前後でも十分に使えますが、3気筒なら1300rpmではちょっと辛い。エンジンの排気量も当然3気筒のほうが小さいはずですからエンジンが回し気味になるので、その分だけ振動が増えるということもできるでしょう。