4気筒は上下方向と回転方向の振動が起こる
乗用車のエンジンはダウンサイジングという志向もあって、4気筒が主流になってきました。そして以前は軽自動車向けだった3気筒も、スモールカーを中心に増えてきています。
エンジンの効率や燃焼技術の向上によって、小さい排気量でも十分なトルクを確保することができるようになったこともあって、エンジンはどんどん小型化されるのがトレンドになっています。同じ車種への乗り換えでも、6気筒から4気筒へ、4気筒から3気筒となる人も居ることでしょう。
すでにヨーロッパでは1.3リッター以下のスモールカー向けエンジンは3気筒が主流になっています。日本でもすでに1リッターは3気筒ですが、それ以上の排気量でも3気筒がメインになっていくことが予想されます。そこで気になるのは振動です。4気筒に較べて、3気筒は振動が大きいといわれています。その理由を簡単に説明してみようと思います。
まず、ひとつのシリンダーに注目してみましょう。エンジンのピストンが上下に動くことによって、振動が発生します。そこでクランクシャフトにバランスウェイトを付けて、釣り合いを取ることで、その上下振動はほぼ解消することができます。これを1次振動といいます。3気筒でも4気筒でも、1次振動はバランスさせることができます。
大排気量の直列4気筒では2次振動が問題になります。直列4気筒では2つずつのピストンがまったく同じ動きをします。2つが上向きに動いていれば、残りの2つは下向きに動いています。ただしこの時の速度が上向きのほうが速いので、その差が振動となって出てしまいます。これが2次振動で、上級車ではバランサーシャフトを組み込んで打ち消すことで、滑らかなフィーリングを確保することもあるのです。