パワーが不足しているからダウンフォースが上げられない
長谷川F1プロジェクト総責任者は、「ここのコース特性、とくにS字がよくなかったです」とコメントした。
アロンソの、「トラックのレイアウトは僕らに合ってないのは明らかだったし、高速セクションでのダウンフォース不足だった」という答えにマクラーレン・ホンダの弱点が見えた。
長谷川F1プロジェクト総責任者は、アロンソが明言しているように、マクラーレンのダウンフォースが足らないとはいっていない。ダウンフォースが足らないという現象は、あたかも、車体側のマクラーレンの責任と取られがちだが、そうとばかりとはいえないからだ。
ダウンフォースは鈴鹿サーキットを速く走るために重要な要素だ。鈴鹿は、今年21戦行なわれるサーキットの中で、5番目に高速。平均速度は、平均240km/hをオーバーするモンツァの、230km/h以上のスパ-フランコルシャンは別格として、シルバーストンと並んで、鈴鹿は220km/h辺りに位置する。
ところが、ダウンフォースレベルは、もっとも遅い平均150km/hほどでしかないモナコと同じともいわれる。中高速のコーナリングがタイム短縮に重要なのは、鈴鹿がテクニカルなレイアウトだからだ。高速なのにダウンフォースが必要なコース。ドライバー全員が、鈴鹿が「もっともチャレンジング」というのは、そういうコースだからだ。
18歳で最年少F1GPウィナーのマックス・フェルスタッペンに、「鈴鹿のどこが一番好きか」と尋ねたら、「ハイスピード・セッション。1コーナー、2コーナーからS字にかけての区間だ」と即座に答えた。
チャレンジングということは、つまりこの区間がタイム短縮に大きく寄与する、いとうことだが、マクラーレン・ホンダはそこが遅かった。そしてそれはダウンフォース不足が大きな要員だったのだが、では、どうしてダウンフォースを大きくできないかといえば、それはパワー不足だからだ。
ダウンフォース不足という言葉を捉えて、マクラーレンの車体が、という意見がネットに出回っているが、それはトータルパーケージの意味をわかっていない意見だ。パワーがあれば抵抗が大きくなることを恐れずにダウンフォースを大きくできる。しかし、それができないていなことに、長谷川祐介F1プロジェクト総責任者のコメントから、忸怩たる思いが忍ばれる。