タフさだけでなく世界的な部品供給網の充実が理由
「ランクル」という愛称で親しまれているトヨタ・ランドクルーザー。日本のみならず世界中で愛用されているという話はクルマ好きであれば耳にしたことがあるだろう。
そうして非常にタフなエリアでも使われている理由のひとつは、とにかく壊れないことといわれている。それは開発姿勢からして納得できる。
現在、日本向けのランドクルーザープラドに搭載されるクリーンディーゼル「1GD-FTV」エンジンは最大熱効率44%とトップレベルであり、また日本の規制をクリアするほどクリーンなディーゼルエンジンだ。
しかしその開発の順序としては高地や砂漠などの厳しい環境で使える耐久性を第一として、その上で先進国市場が求める環境性能を積み上げていくといった考え方に基いているという。
故障して移動できなくなることが命に関わるような地域で使われることを、開発陣が理解しているのは大きい。そもそも故障しないことを優先した設計思想なのである。
もっとも、機械として丈夫に作ったとしても、ユーザーが乱暴に使えば壊れてしまうことはある。そうしたときに修理が必要になるが、ランクルはその点でもアドバンテージをもっている。部品供給網が整備され、またランクルの修理に慣れたメカニックが多数存在しているというのだ。
高い普及率が生み出した需要と供給の関係から整備されたという部分が大きいのだろうが、壊れづらい上に、修理やメンテナンス網が確保されているとなれば、タフなエリアになればなるほどランクルを選ばないという手はなくなる。そうして「ランクル」というブランドが強くなっていったのだ。
こうして着実な積み重ねにより支持を集めてきたわけだから、ハードウェアの性能だけで他社がランクルの地位を奪うのは至難の業だろう。