接触を考えた樹脂製パネルなど独特の作り
日本人唯一のFIA世界選手権王者に輝いたことのある世界のラリースト、新井敏弘。今回、北米を中心に開催されているレッドブル・グローバルラリー選手権のLA大会にスポット参戦することになった。グローバルラリークロスは、サーキットのレースやオフロードのレース、ラリーの特性を合わせもったモータースポーツだ。
では新井敏弘選手が乗るSRTUSA(スバル・ラリー・チームUSA)の2016年式WRX STIをチェックしてみよう。
オーリンズ社のサスペンションは非常に長いストロークを持ち、「(ロールすることでよく知られている)WTCCのマシンよりも柔らかいのでは?」と新井選手。ブレーキディスクはアルコン社製でパッドはエンドレスのものを使用。17×8のホイールにBFグッドリッチのRC02というGRCスペックのタイヤを装着する。
フロント部では泥などが入り込み十分な冷却性能が期待できないためのものだ。リヤドアの中央部に巨大なエアインテークが設けられ、そこからリヤトランク部に設置したラジエターに外気が導入され、トランクフードの車両後端部には大きくエア抜きの穴が設けられている。
SRTUSAは、デビッド・ヒギンズ選手、クリス・アトキンソン選手を擁しており、今回は新井選手を入れた3台体制でGRC最終戦に臨むこととなっている。
そのデビッド選手は新井選手と同じマシンであるが、クリス選手のマシンはちょっと異なる。デビッド選手と新井選手のマシンはSRTUSAが独自に製作したマシンだが、この車両はSTIが分析を行ない、STIの技術協力の下、SRTUSAが製作した車両となっている(吸排気のみは現行のまま)。2017シーズンを見据え、先行開発車両といえる。
STIはこの最終戦のデータを持ち帰り、残り半年弱で、さらにフィードバックを加えた2017モデルを作るという考えのようだ。