クルマの性能向上など複数の要因が考えられる
1980年代半ばに姿を消していたから、実感あるのは40歳代後半以上だろうか。昔のクルマには100km/hを超えると「キンコンキンコン」と鳴り響く、ブザーというかアラームが付いていた。今のような電子音ではなく、凄くアナログで、まさに車内に鳴り響く感じだった。
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なぜこんなものが付いていたかというと、100km/h以上というのは危険な領域だったから。もちろん今でも制限速度は100km/hなので、それ以上はあり得ないというのは建前としてあるが、実際はちょっと超えてしまうことはある。 
現在であれば、別になにごともなく走り続けるが、当時のクルマにとってはかなりストレスのかかる状態だったし、そもそもブレーキ性能も低かったから制動距離も今よりかなり長い。
乗り手のスキルや道路環境もあるだろうが、いずれにしても100km/hというのはひとつの壁だったのだ。今でいうところの160km/hぐらいの壁感だろうか。
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仕組みとしてはすでに触れたように、素朴なもので機械式チャイムや電子ブザーを使用していたのだが、じつは「速度警告装置の装備要件」としてちゃんと法律で定められたものだったのだ。だから高級車から実用車まですべて付いていて、廃止されたのは1986年のことなので、ハチロクにもチャンと付いていた。
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廃止された理由は、性能が上がって、100km/hというのは普通の世界になったから。すぐに出てしまえば、ずっと聞き続けなければならなくなってしまい、非常にストレスとなる。またそれ以外には、そもそも輸入車には付いていなくて、その格差を是正するというのもあったようである。
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ちなみに走り好きのなかには、配線をカットして鳴らないようしていた人はけっこういたものだ。