昔のキャブ車以外はやる必要なし!
50代以上の人ならともかく、それ以下の年齢の人は、ほとんど知らないエンジン始動法なのではないだろうか? 1980年代の半ばぐらいまで、まだキャブレター仕様の乗用車が新車で発売されていて、エンジンが冷えているときはチョークというレバーを引いて、混合器を濃い状態にしないと、エンジンが始動しづらくなっていた。
そんなキャブレター時代の終盤に、ドライバーがレバーで調整しなくても、自動的にチョークを調整してくれるオートチョークが登場。
このオートチョークは、始動する前にアクセルを2~3回踏むことでスタンバイ状態になるので、30年ぐらい前のキャブレター車の始動時には、アクセルを踏むよう取扱説明書にも書いてあった。
しかし、インジェクター+ECUの電子制御燃料噴射装置が普及した今日では、まったく不要で、害あれど益なし……。
始動時にベストとなる混合気の濃さは、コンピュータが自動的に調整してくれるので、アクセルにはノータッチでOK。
むしろアクセルオンでスタートし、エンジン内の各部にオイルがいきわたっていない状態で回転数が上がるほうが、エンジン内部を傷つけ消耗させることになるので、要注意。
MT車だったらアクセルを踏まずに、クラッチを踏んでスタートさせるのが基本。クラッチを踏むことで、エンジンとトランスミッションが遮断され、スターターがミッション内のギヤまで回す必要がなくなり、スターターの負担と電力消費を軽減できるからだ。
冬場はバッテリー性能も低下しているし、ギヤオイルも冷えているうちは固いので、クラッチを切らないと、ニュートラルでも入力側のギヤが回って抵抗になる。
また、誤ってギヤが入った状態でスターターを回し、飛び出してしまうという事故も防げるし、“クラッチスタートシステム”付きのクルマの場合、そもそもクラッチを切らないとスターターが回らない仕組みになっている。
またAT車は、ブレーキを踏みながら、エンジンのスタートボタンを押すのが基本。いずれにせよ、昔のキャブレター仕様の車以外、アクセルを踏んでエンジンを始動させるのは間違いだ。