クラッチが減るとエンジンの力が十分に伝わらない
クラッチは、エンジンとトランスミッション(変速機)の間にある部品で、発進、停止、変速時にエンジンの力をトランスミッションに伝えたり遮断したりする役割をする「動力伝達装置」。
シフトチェンジをする際は、このクラッチをきちんと切らないと、ガリッと嫌な音がしてギヤが入らない……。
また発進時は、クラッチを完全繋げずに、半クラッチでクラッチを滑らせることで、エンジンの回転数を必要以上に上げなくても、スムースな発進ができるようになる。初心者にはこの半クラッチがなかなか難しく、教習所時代に苦労した思い出がある人も多いはず。
このクラッチの心臓部は、摩擦材で、この摩擦材の摩擦力でエンジンの力をトランスミッションに伝えるわけだが、摩擦材は摩擦によって消耗するので、走れば走るほど減っていく。
そうして摩擦材の摩耗が進むと、やがてクラッチが滑るようになる。症状としては、いつもと同じようにアクセルを踏んでいったのに、回転数だけ早めに上がって、反対に車速は思ったほど伸びていかない……。
こんな症状が出たときは、クラッチの寿命。交換時期が訪れたので、早めに整備工場に持っていこう。
クラッチが減って、多少滑り出したとしても、急に走れなくなるようなことはほとんどない。しかしクラッチが滑ったまま乗り続けると、やがて摩擦材がなくなり、クラッチディスクの金属面が、フライホイールに接するようになり、フライホイールを傷つけたり、クラッチカバーのフェースに当たるようになり、クラッチディスクの交換だけでは済まなくなる。
フライホイールの研磨や交換となると、とても高くつくので、症状が軽いうちにクラッチ交換をしたほうが賢いというもの。