適切なハイビームの使用が有効なことは間違いない
9月21日の新聞に、「歩行者が夜間に道路を横断中、車にはねられた昨年1年間の全国の死亡事故625件のうち、96%の車のライトがロービームだったことが警察庁の調査でわかった」という記事が掲載されて話題になっている。
警察庁では、この625件の事故のうち、ハイビームを使っていれば防げた事故もあるとみており、今日(21日)から始まる秋の全国交通安全運動において、ハイビームの使用を重点項目に挙げているとのこと。

そもそも、ロービームの正式名称は「すれ違い用前照灯」で、ハイビームが「走行用前照灯」。つまり、通常ではハイビームを使用するのが基本で、ロービームは、対向車や前走車が存在する場合、臨時に使うという位置づけになっている。
その見え方がどれぐらい違うかというと、道路運送車両法で、ハイビームの照射距離は前方100m先、ロービームは前方40m先を照らすことができるものと定められている。ロービームの照射距離=40mというのは、時速50kmで走行中だと、約2.9秒後に到達する距離。100mなら7.1秒なので、この差は大きい。
大体、照射距離の先端で歩行者に気付くことも少ないだろうし、気付いてから減速、回避のためのアクションに入るまでにもロスタイムがあることを考えると、40mではやはり足りない……。
また、照射距離が長ければ、横断しようとしている歩行者にもそれだけ早くクルマの接近を知らせることができるので、二重の意味でハイビームは安全だ。