同じスマートでも走りは大きく異なるフォーツーとフォーフォー
ところで試乗日は真夏日。少し走っていると太陽の照りつけが厳しくなってきた。そこで走行中にスイッチで屋根をクローズドに。じつはこのカブリオ、電動ルーフが速度にかかわらず走行中に操作可能なのだ。今回のようなシーンに限らず、たとえ高速走行時の急な雨でも閉められるのだから嬉しいことこの上ない。
そして市街地では圧倒的に取り回しがいい。これなら車両感覚を捉えるのが苦手なひとでも四隅を認識できるだろう。ホイールベースの短さからくる内輪差の小ささ、そもそものボディの小ささ、小回り性能が効果を発揮し、狭い道でのストレスの少なさは特筆すべき点だ。
また、駐車もラク。よく「クルマをぶつける人は小さなクルマでもぶつける」というが、スマート・フォーツーぐらい小さければ別ではないだろうか。
走りといえばツインクラッチの2ペダルトランスミッション、6速DCTのデキもよかった。コチラもダウンサイジングターボと同様に、完全に浸透し、かつてのトルコンオートマのように当たり前の存在になりつつある。発進時のクラッチの繋がりもスムースで、DレンジでのシフトスケジュールはECOとSPORTが選べるため「マニュアル操作しないと使えない」といったこともない。
続いてフォーフォーへと乗り替える。驚くのはフォーツーに比べて圧倒的な質感の高さだ。ホイールベースが長い分、同じルートを走ってもゆったりとした乗り味となる。また、ステアリングの感触もキビキビの極みという印象のフォーツーに対し、シットリ感が強い。このクラスに使う言葉としてふさわしいかどうかは別として、ワンランク上の高級感を感じるといえばわかりやすいだろう。
さらに、同じRRエンジンだが、エンジンからドライバーズシートが遠いことと、何よりクローズドボディであることが影響しているのだろう。静粛性が高く、トータルとして上質な室内空間を楽しめる。
音に関しては、フォーツーのクローズドボディ「マット リミテッド」がどうなのか、興味があるが、今回は試乗できていない。
エンジン出力は、フォーツーに比べて60kg重いフォーフォーでもさほど問題はない、というよりも、街乗りレベルではほとんど加速に差違を感じなかったというのが本音だ。
ではこの2台、フォーフォーのほうがいいということか? と言われればそれは違う。同じ0.9リッターターボ+6速DCTというパワートレインを採用するスマートでもまったく違うクルマと捉えるべきだろう。
3人以上で乗ることがあるならフォーフォー1択だし、大きな荷物を積載する可能性があっても同様だ。
だが、フォーフォーも十分に取り回しに優れるが、フォーツーのそれは圧倒的だ。そしてオープンエアを楽しみたいならフォーツーしかない(フォーフォーの兄弟車であるルノートゥインゴなら4座でカブリオレが選べるが)。
そして最後になるが走り好きには大切な要素としてパドルシフトの有無も違う。フォーツーカブリオは無し、フォーフォーは有りとなっている。ちなみにフォーツー・マット リミテッドは付いているという状況だ。もちろんレバーでは全車マニュアル操作が可能となっている。
もしそういった確定的な要素がなく、2台で迷うことがあるなら、必ず比較試乗することをオススメする。そのぐらい走りのキャラクターが異なるのだ。